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特定商取引法① 規制の概要について

このページでは特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」といいます。)の規制の概要について説明します。

 

1.特定商取引法とは

特定商取引法とは、一定の販売手法や取引について消費者を保護する目的で定められた法律です。主な内容としては、事業者を監督官庁が行政的に規制するいわゆる「業規制」の他に、契約の解除・取消や損害賠償の定めといった民事上のルールに関する定めも設けられています。

上述のように特定商取引法は、消費者保護の目的で定められた法律ですが、行政規制の側面もあるので事業者にとってはコンプライアンスの観点から非常に重要な法律であるともいえます。

 

2.特定商取引法の規制対象となる取引

特定商取引法の規制対象となるのは以下の①から⑦の取引及び⑧ネガティブ・オプションです。

①訪問販売(2条1項)

②通信販売(2条2項)

③電話勧誘販売(2条3項)

④連鎖販売(33条1項)

⑤特定継続的役務提供(41条)

⑥業務提供誘引販売(51条1項)

⑦訪問購入(58条の4)

⑧ネガティブ・オプション(59条)

なお、取引の主体や特定の業種によっては特定商取引法の全部または一部が規制対象外となります。例えば、「営業のためにもしくは営業として締結するもの」には特定商取引法の規制は及びませんし(26条1項1号)、宅建建物取引業者の行う宅地・建物等の売買は、訪問販売、通信販売、電話勧誘版販売適用除外となっています(26条1項8号ロ。ただし、宅地建物取引業法が適用されない用途地域が未指定の山林を宅地造成せずに売買する場合等については適用されることに注意が必要です。また、特定商取引法の規制が及びませんが、それは宅地建物取引業法にクーリング・オフなどの消費者保護の制度が定められているためです。)。

 

3.特定商取引法の規制内容

特定商取引法の主な規制内容については、事業者に対する行政規制及び契約などの効力に関する民事上のルールがあります。

行政規制の主な内容としては、広告に関する規制、契約を締結するにあたっての情報開示に関する規制、勧誘等に関する規制が挙げられます。これらの規制に違反した事業者は改善指示や業務停止及び事業者名の公表といった行政処分や、刑事罰の対象となります。

民事上のルールとしては、クーリング・オフ、不実告知の場合の取消権、解除の場合の損害賠償額の制限等があります。

 

4.平成28年の主な改正点

特定商取引法は複数回改正されており、その都度規制対象が見直されていますので、規制対象の企業の方は法改正につき注視する必要があります。直近の改正である平成28年の主要な改正点は以下のとおりです。

①次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者に対する業務禁止命令制度の新設

②業務停止命令の期間の伸長(最長1年→2年)

③行政調査に関する権限の強化

④刑事罰の強化

⑤所在不明の違反事業者への公示送達による処分

⑥電話勧誘販売における過量販売規制の導入

⑦不実告知・事実不告知における取消権の行使期間の伸長(6月→1年)

⑧特定権利に対する規制の拡大